1. ホーム
  2. 資産形成
  3. 「老後資金、こんなに残す必要はなかった」70代夫婦が語る堅実すぎた老後の後悔
資産形成

「老後資金、こんなに残す必要はなかった」70代夫婦が語る堅実すぎた老後の後悔

「もっと使えばよかった」――定年後に手元に残った4000万円近い老後資金を前に、そう語る70代夫婦がいます。年収500万円以上の会社員として30年以上、ひたすら節約と貯蓄を続けてきたAさん(74歳)夫妻のケースは、決して他人事ではありません。

物価上昇・社会保険料増加が続く2026年現在、「老後2000万円問題」への不安から貯蓄を積み上げることに必死になっている40〜50代の会社員の方が急増しています。しかし、堅実すぎる老後資金計画が、豊かな人生の機会を奪ってしまうリスクがあることはほとんど語られていません。

この記事では、70代夫婦の実例をもとに、年収500万円以上の会社員層が陥りがちな「老後資金の過剰貯蓄」という落とし穴と、本当に必要な資産形成の考え方をお伝えします。

70代夫婦の実例:3900万円が「多すぎた」理由

まず、Aさん夫婦の状況をご確認ください。数字だけ見れば、老後の不安とは無縁に見える堅実な家計です。

項目 詳細データ
世帯主 Aさん(74歳、元会社員)
年金収入 夫婦合算で月額約23万円
金融資産 退職金や積立を含め約3,900万円
住居状況 持ち家(住宅ローン完済済み)
月の生活費 約21万円(年金の範囲内)

年金だけで生活費が賄えており、3,900万円の金融資産は手つかずのままです。しかしAさんはこう振り返ります。

「50代のころ、ヨーロッパ旅行に行きたかった。子どもたちと温泉旅行も行きたかった。でも『老後のために』と我慢し続けた。今は妻の膝が悪くて、長時間歩けない。あのお金、もっと早く使えばよかったと本当に後悔しています」

これは特殊なケースではありません。総務省の家計調査によると、65歳以上の無職世帯の月平均消費支出は約26万円です。年金収入が月23万円あれば、毎月の不足は3万円程度。つまり1年で36万円、10年で360万円の取り崩しで済む計算になります。

年収500万円以上の会社員が陥る「過剰貯蓄」の罠

なぜ、年収500万円以上の堅実な会社員ほど老後資金を積みすぎてしまうのでしょうか。主な理由は以下の3点です。

①「老後2000万円問題」が生んだ過剰不安

2019年の金融庁レポートがきっかけで広まった「老後2000万円問題」ですが、これはあくまで平均的なケースをもとにした試算です。収入が高く、退職金もある会社員層では、実際の必要額はケースバイケースで大きく異なります。一律に2000万円・3000万円を目標にすることが、かえって不必要な節約を招いています。

②健康寿命と平均寿命のギャップを無視した計画

平均寿命(男性約81歳、女性約87歳)と健康寿命(男性約73歳、女性約75歳)の間には、約8〜12年のギャップがあります。お金を自由に使えるのは、実質的に60代〜70代前半までというケースが多数です。80代になってから潤沢な資金が残っていても、体力的・健康的な制限から使いたいことに使えない現実があります。

③インフレリスクを軽視した「銀行預金のみ」戦略

年収500万円以上の会社員層の中には、リスクを嫌い全資産を銀行預金だけで保有している方も少なくありません。しかし、2%前後のインフレが続く現在、預金だけでは資産の実質価値が年々目減りしていきます。資産運用ゼロのまま過剰に貯蓄しても、インフレによって老後の購買力は確実に低下します。

本当に必要な老後資金はいくらか?3つの視点で考える

老後に必要な資金を正確に把握することが、「過不足なく豊かな老後」を実現する第一歩です。以下の3つの視点から自分に合った目標額を算出してみましょう。

視点①:支出から逆算する「実需計算」

まず「月に何円あれば満足な生活ができるか」という実際の生活費から計算します。年金受給見込み額と照らし合わせ、毎月の不足分を算出。その金額に老後の年数を掛け算すれば、必要な取り崩し額が明確になります。

【計算例】月の生活費25万円、年金収入20万円の場合:月5万円×12ヶ月×25年=1,500万円が必要な取り崩し額

視点②:ライフイベント費用の積み上げ

旅行、趣味、子・孫へのプレゼント、リフォーム費用など、「やりたいこと」に必要な費用を具体的にリストアップします。漠然とした不安ではなく、具体的な数字に落とし込むことで、本当に必要な金額が見えてきます。

視点③:医療・介護費の現実的な見積もり

生涯の医療・介護費の平均は約500〜800万円とされています(公的保険適用後の自己負担ベース)。ただし、高額療養費制度や介護保険制度の活用により、実際の自己負担はさらに抑えられます。「介護費用が青天井」という誤解を解くことも、適切な老後資金計画の重要なポイントです。

年収500万円以上の会社員が今すぐ見直すべき資産戦略

老後資金の過剰貯蓄から抜け出し、「使えるお金」と「守るお金」を適切に配分するための具体的な戦略を解説します。

戦略①:iDeCoとNISAで税制優遇を最大限活用する

年収500万円以上の会社員にとって、iDeCo(個人型確定拠出年金)は所得控除による節税効果が特に高く有利な制度です。毎月の掛金が全額所得控除になるため、年収に応じて年間数万〜十数万円の節税効果が期待できます。また、新NISAの成長投資枠(年240万円)を活用したインデックス投資は、インフレに強い資産形成手段として注目されています。

戦略②:「使う老後資金」と「守る老後資金」を分ける

全資産を一つの箱で管理するのではなく、「60〜75歳の活動的な期間に使うアクティブ資金」と「80歳以降の医療・介護に備えるリザーブ資金」に分けて管理することが重要です。アクティブ資金は積極的に旅行・趣味・家族への支援に使うと決め、リザーブ資金は手堅く保全する設計が、充実した老後につながります。

戦略③:FP(ファイナンシャルプランナー)によるライフプラン設計

老後資金の過不足は、個人のライフスタイルや家族構成、退職金額、年金見込み額によって大きく異なります。独自の状況を正確に把握し、過剰でも不足でもない「ちょうどいい老後資金」を設計するには、独立系FPへの相談が最も効率的な方法の一つです。

まとめ:「堅実な老後」が「後悔する老後」にならないために

70代夫婦の修一さんが語る「こんなに残す必要はなかった」という言葉は、日本の多くの堅実な会社員層に共通する後悔を象徴しています。老後資金は「多ければ多いほど安心」ではなく、「いつ、何に、いくら使うか」という明確な計画こそが、豊かな老後の鍵です。

  • 健康寿命が尽きる前にやりたいことにお金を使う計画を立てる
  • iDeCo・新NISAで税制優遇を最大活用しながら資産形成する
  • 医療・介護費用は公的保険を正確に理解して現実的に見積もる
  • FPに相談して自分専用のライフプランを作る

今、50代・40代の会社員の方こそ、老後資金の「量」ではなく「使い方の設計」に目を向けるタイミングです。将来の自分と家族が「あのとき決断してよかった」と思えるライフプランを、今日から考え始めてみてください。

この記事を書いた人

マネーパスポート運営部

マネーパスポート運営部

マネーパスポートでは資産形成の個別相談を受け付けております。