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加給年金条件は?繰下げで受け取れなくなる前に会社員が確認すること

この記事でわかること

  • 加給年金は、厚生年金に20年以上加入した人が65歳時点で年下の配偶者などを養っているときに加算され、配偶者分は最大で年423,700円(令和8年4月から)です。
  • 老齢厚生年金を繰り下げると、待っている間は加給年金を受け取れません。配偶者が3歳年下なら約127万円を受け取れない計算です。
  • 企業年金連合会の年金は103.2万人が未請求(2026年3月末)。転職経験のある会社員は請求漏れの確認も大切です。

加給年金条件を知らないまま年金の受け取り方を決めると、本来受け取れたはずのお金を逃してしまうことがあります。結論からお伝えすると、年下の配偶者がいる会社員が老齢厚生年金を繰り下げる場合、繰り下げている間は加給年金が支給されません。年金を増やす方法として繰下げ受給を考えるなら、加給年金の条件とあわせて判断することが大切です。

本記事では、2026年10月時点の日本年金機構などの公表資料をもとに、会社員が年金を増やすための3つの方法として、繰下げ受給、加給年金と振替加算、企業年金の請求漏れの確認を、試算とあわせて解説します。

老後資金の全体像から確認したい人は、50代の平均貯蓄額はいくら?目標額と対策もあわせてご覧ください。

加給年金条件と年金を増やす方法が注目される理由

加給年金とは、厚生年金の加入期間が20年以上ある人が65歳になった時点で、生計を維持している配偶者や子がいる場合に、老齢厚生年金に上乗せされる年金のことです。繰下げ受給とは、65歳から受け取れる年金を66歳以降に遅らせて受け取ることで、遅らせた月数に応じて年金額が増える仕組みのことです。

65歳以降も働く会社員が増える中、年金をいつから受け取るかを考える人も増えています。日本年金機構によると、働きながら年金を受け取る人の年金が減額される在職老齢年金の基準額は、2026年4月から月51万円から65万円に引き上げられました。働き方と受け取り方の組み合わせが広がった一方で、加給年金の条件を見落とすと、かえって受け取る総額が減ることがあります。

また、厚生年金基金とは、企業などが国の厚生年金の一部を代わりに運用し、上乗せして給付していた制度のことです。解散などで企業年金連合会に移った年金は、本人が請求しないと受け取れません。

会社員が年金を増やす3つの方法と加給年金の注意点

方法1 繰下げ受給で年金額を増やす

日本年金機構によると、繰下げ受給の増額率は1か月あたり0.7%で、75歳まで繰り下げると最大84%増えます。増額率は一生変わらず、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられます。65歳から受け取った場合と受取総額が並ぶ年齢(損益分岐)を試算すると、次のとおりです。

受け取り開始 増額率 65歳開始と受取総額が並ぶ年齢
66歳8.4%77歳11か月
68歳25.2%79歳11か月
70歳42.0%81歳11か月
72歳58.8%83歳11か月
75歳84.0%86歳11か月

※増額率は日本年金機構の計算式による。損益分岐は当サイトの試算で、税金・社会保険料、加給年金、在職による支給停止は考慮していない額面の比較です。

方法2 加給年金と振替加算を受け取る

日本年金機構によると、加給年金の主な条件は次のとおりです。

  • 本人の厚生年金の被保険者期間が20年(240月)以上あること
  • 65歳到達時点で、生計を維持している配偶者または子がいること
  • 配偶者は65歳未満であること。子は18歳到達年度の末日までの子
対象 加給年金額(年額、令和8年4月から)
配偶者243,800円+特別加算(昭和18年4月2日以後生まれの人は179,900円、合計423,700円)
1人目・2人目の子各243,800円
3人目以降の子各81,300円

出典 日本年金機構 加給年金額と振替加算

配偶者自身が厚生年金に20年以上加入していて、その老齢厚生年金を受け取る権利がある場合は、配偶者の加給年金は支給停止になります。令和4年4月以降は、実際に受け取っていなくても権利があれば停止される点に注意が必要です。

振替加算とは、配偶者が65歳になって加給年金が打ち切られたあと、配偶者本人の老齢基礎年金に一定額が加算される仕組みのことです。対象は大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた配偶者に限られます。

繰下げと加給年金を組み合わせるときの注意

日本年金機構は、繰下げ待機期間中は加給年金や振替加算を受け取れず、加給年金は繰下げによる増額の対象にもならないとしています。次の前提で試算しました。

  • 本人は厚生年金に20年以上加入し、昭和18年4月2日以後生まれ
  • 配偶者は3歳年下で、加給年金の条件を満たしている
  • 本人が老齢厚生年金を68歳まで繰り下げる

この場合、本人が65歳から68歳になるまでの3年間は、配偶者が65歳になる前でも加給年金を受け取れません。加給年金423,700円の3年分で、約127万円を受け取れない計算です。

一方で、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられます。老齢厚生年金は65歳から受け取って加給年金を確保し、老齢基礎年金だけを繰り下げる方法も選択肢の一つです。

方法3 企業年金の請求漏れを防ぐ

企業年金連合会によると、2026年3月末時点で連合会の年金を請求していない人は103.2万人です。このうち68.0万人は請求書が届いていない人、35.2万人は請求を保留している人とされています。転居や結婚による改姓で書類が届かなくなることがあるため、過去に勤めた会社で厚生年金基金に加入していた可能性がある人は、企業年金連合会に問い合わせて確認しましょう。

注意すべきリスク

  • 損益分岐は額面での比較。年金額が増えると税金や社会保険料も増えるため、手取りで見ると分岐の年齢は遅くなります。
  • 働きながら繰り下げる場合。在職老齢年金で支給停止される部分は、繰り下げても増額されません。
  • 早く亡くなった場合。繰り下げている間に亡くなると、本人は増額分を受け取れません。
  • 加給年金の見直し。厚生労働省によると、2028年4月から子の加算は増額され、配偶者の加算は新たに受け取る人から減額される予定です(既に受け取っている人は現行の額)。

長生きした場合と早く亡くなった場合の両方を想定して、資産がいつまで持つかを確かめる方法は、老後不安を解消する資産の寿命を知る3ステップで解説しています。

よくある質問

Q1. 加給年金を受け取れる条件は何ですか?

本人の厚生年金の加入期間が20年以上あり、65歳になった時点で生計を維持している65歳未満の配偶者、または18歳到達年度の末日までの子がいることが主な条件です。配偶者が20年以上加入した老齢厚生年金を受け取る権利がある場合は、配偶者分は支給停止になります。

Q2. 繰り下げると加給年金はどうなりますか?

老齢厚生年金を繰り下げている間は、加給年金を受け取れません。加給年金は繰下げによる増額の対象にもなりません。老齢基礎年金だけを繰り下げれば、加給年金を受け取りながら年金額を増やすことができます。

Q3. 繰り下げ受給は何歳まで生きれば得になりますか?

当サイトの額面の試算では、70歳から受け取る場合は81歳11か月、75歳からなら86歳11か月で、65歳から受け取った場合の受取総額に並びます。税金や社会保険料を考慮すると、並ぶ年齢はもう少し遅くなります。

Q4. 年金を増やす方法にはどのようなものがありますか?

会社員の場合、繰下げ受給、加給年金や振替加算の確認、企業年金の請求漏れの確認が主な方法です。どれも家族の状況や働き方によって向き不向きがあるため、組み合わせて考えることが大切です。

Q5. 厚生年金基金に入っていたかどうかはどう確認できますか?

企業年金連合会に問い合わせると確認できます。転居や改姓で請求書が届いていない人も多いため、転職経験がある人は一度確認しておくと安心です。

まとめ 今日から始めるライフプランの見直し

加給年金条件を満たす会社員にとって、繰下げ受給はいつも得とは限りません。年金を増やす方法は、増額率だけでなく、家族の年齢や働き方と組み合わせて考えることが大切です。

  1. ねんきん定期便で厚生年金の加入期間が20年以上あるかを確認する
  2. 配偶者の年齢と厚生年金の加入期間から、加給年金を受け取れる期間を計算する
  3. 過去の勤務先で厚生年金基金に加入していなかったか、企業年金連合会に確認する

公的年金への上乗せを考える会社員は、iDeCo2026年12月改正 会社員の上限6.2万円と注意点もあわせて確認しておくと安心です。

受け取り方の選択は、一度決めると変えにくいものです。65歳を迎える前に家族と話し合い、将来の暮らしに合った受け取り方を準備しておきましょう。

専門家と一緒に年金の受け取り方を見直してみませんか

繰り下げるかどうか、どの年金を繰り下げるかは、家族の年齢や働き方、ほかの資産によって答えが変わります。加給年金を含めた受け取り方をご自身の状況に合わせて整理したい方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも選択肢の一つです。

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監修 宮﨑 裕太(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、一種証券外務員)
更新日 2026年10月7日

参考資料

※本記事は2026年10月時点の法令・制度に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の年金の受け取り方の判断を行うものではありません。ご自身の年金額や受給要件は、ねんきん定期便や年金事務所でご確認ください。

この記事を書いた人

マネーパスポート運営部

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