東京23区24%高騰の不動産投資、医療従事者が知るべき二極化の実態
結論:東京23区の区分マンションは記録的高騰、しかし「どこを買っても勝てる」わけではない
先に結論からお伝えします。東京23区の区分マンション価格は前年比24.25%という歴史的な水準まで高騰しており、都心の不動産投資は依然として強い需要を集めています。一方で、地方エリアの区分マンションのように前年比マイナス30%台の下落を記録する物件種別・エリアも存在し、市場は明確に「二極化」しています。年収500万円以上の医療従事者は、高い信用力を背景に不動産投資ローンを利用しやすい立場にありますが、この二極化を理解せずに物件を選ぶと、資産防衛どころか資産毀損につながるリスクがあります。
1.歴史的水準まで高騰する不動産投資市場
現在、投資用不動産市場には多額の資金が流入しており、非常に強い動きを見せています。大手不動産情報サイトが発表した『2026年6月版 収益物件 市場動向マンスリーレポート』によると、以下の主要3種別すべてにおいて、2008年4月の調査開始以来2番目となる歴史的な高水準に到達しました。
- 区分マンション
- 一棟アパート
- 一棟マンション
これは、直近の最高値である2025年後半から2026年初頭のピークに迫る勢いとなっており、市場全体の熱気は依然として高い状態が続いています。
なぜここまで価格が上昇しているのか
背景として、主に次のような要因が指摘されています。第一に、金融機関の融資姿勢が積極的な局面が続き、投資資金が不動産市場に流入しやすい環境が続いてきたこと。第二に、円安を背景に海外投資家による日本の収益不動産取得意欲が高まっていること。第三に、建築資材や人件費の高騰により新築供給が抑制され、既存の収益物件の希少性が相対的に高まっていること。そして第四に、インフレ局面において「実物資産」としての不動産に注目が集まり、新NISA等と並ぶ資産防衛先として不動産投資を検討する層が増えていることが挙げられます。
2.東京23区が力強く牽引する「区分マンション」市場
特に際立っているのが、都市部を中心とした「区分マンション」の価格上昇です。全国的に見ても大幅なプラスを記録していますが、その成長を力強く牽引しているのは大都市圏への投資意欲の集中です。
| エリア(区分マンション) | 価格動向・前年同月比 |
|---|---|
| 東京23区 | +24.25%(市場の成長を強く牽引) |
| 首都圏全体 | +17.14% |
| 関西圏 | +11.46% |
| 全国平均 | +19.54%(平均価格 2,790万円) |
物件価格が上昇すると、購入価格に対する年間家賃収入の割合である「表面利回り(年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100)」は低下する傾向にあります。東京23区のように価格上昇が著しいエリアほど、新規に購入する場合の利回りは低くなりやすく、キャッシュフロー(毎月の手残り収支)を重視する投資家にとってはハードルが上がっている点に注意が必要です。区分マンションは一棟物件に比べて少額から始めやすく、管理業務の多くを管理会社に委託できるため、本業が多忙な医療従事者にも人気がありますが、価格が高騰した局面ほど、利回りと将来の出口(売却)のしやすさを慎重に見極める必要があります。
3.エリア別・物件種別に見る「二極化」の進行と落とし穴
しかし、「不動産ならどこを買っても価格が上がっている」と考えるのは非常に危険です。一律の上昇ではなく、エリアや物件種別によって「二極化」が鮮明になっている事実を強く意識すべき状況です。
| 市場の二極化の実態 | 詳細データと解説 |
|---|---|
| 地方「区分マンション」の苦戦 | 信州・北陸エリアの区分マンションは、前年同月比で36.64%の大幅な下落を記録しており、地方の一部では厳しい局面も見られます。 |
| 地方「一棟アパート」の堅調さ | 全国平均は9,116万円(+9.03%)。信州・北陸(5,483万円)や東海(7,076万円)エリアでは直近1年間の最高値を更新し、地方主要都市での根強い需要が確認できます。 |
| 関西圏アパートの強い上昇 | 関西圏の一棟アパートは前年同月比21.07%増と、極めて強い上昇局面を迎えています。 |
このデータからわかるのは、「区分マンション」と「一棟アパート」という同じ物件種別であっても、エリアによって明暗がはっきり分かれているということです。都心の区分マンションのように人口・世帯数の増加が続くエリアでは資産価値が上昇しやすい一方、人口減少が進む地方エリアの区分マンションは需要の縮小により価格が下落しやすい傾向があります。逆に、地方でも賃貸ニーズが根強いエリアの一棟アパートは、価格が底堅く推移するケースも見られます。「都市部か地方か」という単純な二択ではなく、「そのエリアに実需(人口・世帯・賃貸需要)があるかどうか」を見極めることが、二極化時代の物件選びの核心です。
医療従事者が不動産投資で注意すべき3つのポイント
- ①与信力の高さゆえの「借りすぎ」リスク:医療従事者は社会的信用力が高く、金融機関から比較的大きな融資を受けやすい立場にあります。しかし、借入可能額と、無理なく返済できる金額は必ずしも一致しません。当直や転職、開業といったライフイベントによる収入変動も踏まえ、保守的な資金計画を立てることが重要です。
- ②本業多忙だからこその「管理体制」の構築:不動産投資は購入して終わりではなく、入居者管理・修繕・確定申告などの継続的な業務が発生します。信頼できる管理会社やパートナーに適切に業務委託し、本業に支障が出ない体制を事前に整えておく必要があります。
- ③金融資産とのバランス:不動産は流動性が低く、売りたいときにすぐ現金化できるとは限りません。生活防衛資金や新NISA等の流動性の高い金融資産とのバランスを取りながら、資産全体の中で不動産投資が占める比率を適切にコントロールすることが、二極化相場を生き抜く鍵になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 医療従事者は不動産投資に向いていますか?
A. 安定した高い収入と社会的信用力を背景に、金融機関から有利な条件で融資を受けやすい点は大きな強みです。また、管理業務の多くを管理会社に委託できるため、本業が多忙な方でも継続しやすい資産運用手段といえます。ただし、与信力の高さがそのまま「安全な借入額」を意味するわけではない点には注意が必要です。
Q2. 東京23区の区分マンションは、価格が高騰した今からでも購入すべきですか?
A. 一概には言えません。価格上昇に伴い表面利回りは低下する傾向にあるため、購入前には家賃収入と物件価格のバランス(利回り)、将来の出口戦略(売却のしやすさ)を必ずシミュレーションする必要があります。「上昇しているから買う」のではなく、エリアの実需に基づいて判断することが重要です。
Q3. 地方の物件にはもう投資すべきではないのでしょうか?
A. 一律に避けるべきというわけではありません。今回のデータでも、信州・北陸や東海エリアの一棟アパートのように、地方であっても価格が堅調に推移している物件種別・エリアがあります。「地方だから危険」「都心だから安全」と単純化せず、個別のエリアの人口動態や賃貸需要を確認することが大切です。
まとめ:FPからのアドバイス
不動産投資は、優良な管理会社に業務を委託することで日々の手間を省けるため、本業で多忙を極める医療従事者の皆様にとっては非常に相性が良く、魅力的な資産運用手段の一つです。また、医療従事者ならではの高い信用力を活かして有利な条件で融資を引き出せる点も大きな強みとなります。
しかしご紹介した通り、現在の市場は「都市部への投資集中」と「地方での価格差」、そして「物件種別ごとの需要の違い」が明確に二極化しています。ご自身の貴重な資産を守り、着実に育てていくためには、単なるトレンドに乗るのではなく、精緻なデータに基づいた冷静な見極めが不可欠です。私たちファイナンシャルプランナーなどの専門家を上手く活用し、ご自身のライフプランに合った戦略的な資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の不動産取引や投資を推奨するものではありません。投資は必ずご自身の判断と責任において行ってください。