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年金払い退職給付とは?公務員が個人年金保険を考える前に知ること

この記事でわかること

  • 年金払い退職給付とは、2015年10月から始まった公務員の上乗せ年金で、報酬の1.5%(付与率)と利子を積み立てて年金にする仕組みです。
  • 利子の計算に使う基準利率は2026年10月から0.82%に上がりました。半分は終身年金、残りは10年・20年の有期年金か一時金で受け取ります。
  • 個人年金保険は、年金払い退職給付、iDeCo、新NISAで足りない部分を確かめてから検討するのが順番です。

年金払い退職給付とは、公務員が受け取る厚生年金に上乗せされる、退職後の年金の一つです。公務員には個人年金保険はいらないのか、と迷う方も多いですが、結論からお伝えすると、まず年金払い退職給付でどのくらい受け取れそうかを把握し、iDeCoや新NISAなど税制優遇のある制度を検討したうえで、それでも足りない部分を個人年金保険で補うかを判断するのが順番です。

本記事では、2026年10月時点の国家公務員共済組合連合会(KKR)、地方公務員共済組合連合会、国税庁の資料をもとに、年金払い退職給付の仕組みと受け取り方、個人年金保険との比べ方を、試算とあわせて解説します。

年金払い退職給付とは?なぜ今注目されているのか

KKRの資料によると、年金払い退職給付(退職等年金給付)は、平成27年(2015年)10月以後の組合員期間を対象に、従来の職域加算に代わって設けられた制度です。毎月の標準報酬の月額と標準期末手当等の額に付与率を掛けた付与額を積み立て、利子を加えた給付算定基礎額をもとに年金額が決まります。

  • 付与率とは、報酬に対して積み立てられる額の割合のことです。地方公務員共済組合連合会によると1.50%で、保険料率の上限は法律で労使あわせて1.5%とされています。
  • 基準利率とは、積み立てた額に付く利子を計算するための利率のことで、国債の利回りなどをもとに毎年見直されます。
  • 給付算定基礎額とは、付与額の累計と利子の合計のことで、年金額を計算するもとになる額です。

注目されている理由の一つが基準利率の引き上げです。KKRによると、基準利率は2026年10月から0.49%から0.82%に上がりました。直近5年の国債の平均利回り0.74%に、財政再計算に基づく加算率0.08%を上乗せした値です。利子が増えることで、退職時の給付算定基礎額も増えやすくなります。

年金払い退職給付が公務員の老後に与える影響

付与額の試算

年金払い退職給付でどのくらい積み立てられるかを、次の前提で試算しました。

  • 付与率1.50%で、標準報酬月額と標準期末手当等の額(年額)は一定とする
  • 利子は含めない(実際は基準利率による利子が加わる)
  • 組合員期間は30年または35年(すべて2015年10月以後の期間とする)
標準報酬月額 標準期末手当等(年額) 年間の付与額 30年の累計 35年の累計
30万円120万円7.2万円216万円252万円
40万円160万円9.6万円288万円336万円
50万円200万円12万円360万円420万円

※上記の前提に基づく当サイトの試算。実際の給付算定基礎額には利子が加わり、報酬の推移によっても変わります。

ご自身の実際の積立額は、共済組合から届く給付算定基礎額残高通知書で確認できます。

受け取り方

KKRの資料によると、退職年金は65歳に達し、退職していることなどが受給の条件です。組合員として在職している間は支給が停止されます。給付算定基礎額は次のように分けて受け取ります。

区分 算定の基礎 受け取り方
終身退職年金給付算定基礎額の2分の1生涯受け取る
有期退職年金給付算定基礎額の2分の120年、10年、または一時金から選ぶ

※組合員期間が10年未満の場合は、それぞれ4分の1。出典 KKR 知っておきたい厚生年金・退職等年金給付(令和7年版)

また、60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることや、75歳まで繰り下げて受け取ることもできます。繰り上げ・繰り下げは、終身退職年金と有期退職年金を同時に行う仕組みです。

公的年金(老齢厚生年金・老齢基礎年金)の繰り上げ・繰り下げによる増減率は、年金「65歳受給」は本当に得?公務員の最適解で解説しています。

老後に向けた貯蓄の水準を確かめたい方は、公務員の貯蓄格差を比べた記事も参考にしてください。

個人年金保険とiDeCo・新NISAの比べ方

個人年金保険とは、保険料を払い込み、一定の年齢から年金として受け取る民間の保険のことです。老後の上乗せを考えるときは、税制優遇のある制度と並べて比べると判断しやすくなります。

制度 税制上の扱い 途中で引き出せるか 受取額の決まり方
年金払い退職給付加入は自動(掛金は労使で負担)退職後、原則65歳から付与額と基準利率による利子
iDeCo掛金は全額所得控除60歳まで原則不可自分で選んだ運用の成果
新NISA運用益が非課税いつでも売却できる自分で選んだ運用の成果
個人年金保険要件を満たせば個人年金保険料控除解約はできるが、返戻金が払込額を下回る場合がある契約内容による

出典 KKR、iDeCo公式サイト、金融庁、国税庁の資料をもとに当サイト作成

個人年金保険料控除の条件

国税庁によると、個人年金保険料控除の対象となるのは、次の条件をすべて満たす契約です。

  • 年金の受取人が、保険料を払い込む人またはその配偶者であること
  • 年金を受け取るまでに、10年以上の期間にわたって定期に保険料を払い込む契約であること
  • 年金の支払いが、原則として受取人が60歳になってから始まる10年以上の定期年金または終身年金であること

平成24年1月1日以後に結んだ契約の場合、所得税の控除額は、年間の払込保険料が8万円を超えると上限の4万円になります。

注意すべきリスク

  • 途中解約での元本割れ。個人年金保険は、早期に解約すると解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る場合があります。
  • 物価上昇による目減り。受取額が契約時に決まる仕組みの場合、物価が上がると実質的な価値が下がります。
  • 試算は利子を含まない。本記事の付与額の試算は目安で、実際の受取額は基準利率や年金現価率によって変わります。
  • 在職中は支給停止。再任用などで組合員として働く間は、年金払い退職給付の退職年金は支給が止まります。

よくある質問

Q1. 年金払い退職給付とは何ですか?

2015年10月以後の組合員期間を対象に、従来の職域加算に代わって設けられた公務員の上乗せ年金です。報酬に付与率1.50%を掛けた付与額と利子を積み立て、退職後に年金として受け取ります。

Q2. 年金払い退職給付はいくらもらえますか?

報酬や加入期間によって変わります。当サイトの試算では、標準報酬月額40万円、標準期末手当等が年160万円の場合、利子を含まない付与額の累計は30年で288万円です。実際の額は給付算定基礎額残高通知書で確認できます。

Q3. 年金払い退職給付は一時金で受け取れますか?

給付算定基礎額の半分にあたる有期退職年金は、20年・10年の年金か一時金を選べます。残りの半分は終身退職年金として生涯受け取ります。

Q4. 公務員に個人年金保険は必要ですか?

人によって異なります。まず年金払い退職給付と公的年金の見込み額を確認し、iDeCoや新NISAを使っても老後資金が足りない場合に、個人年金保険で補うかを検討するのが一つの考え方です。

Q5. 個人年金保険料控除を受ける条件は何ですか?

年金の受取人が保険料を払う人かその配偶者であること、10年以上定期に保険料を払い込むこと、原則60歳から10年以上の定期年金または終身年金で受け取ることが条件です。

まとめ 今日から始めるライフプランの見直し

年金払い退職給付とは、公務員の老後を支える上乗せ年金です。2026年10月の基準利率の引き上げで、利子による増え方も変わりました。個人年金保険を検討する前に、まずはご自身の見込み額を確認することから始めましょう。

  1. 給付算定基礎額残高通知書で、年金払い退職給付の積立額を確認する
  2. ねんきん定期便とあわせて、65歳以降に受け取れる年金の見込みを整理する
  3. 不足する額に対して、iDeCo、新NISA、個人年金保険をどう組み合わせるかを決める

安定した制度に支えられている公務員だからこそ、仕組みを正しく理解すれば、必要以上の備えを避けながら、安心できる老後の計画を立てられます。受け取り始めた後の資産の使い方は、公務員の50代・60代の資産の出口戦略もあわせてご覧ください。

専門家と一緒に老後の年金の上乗せを見直してみませんか

年金払い退職給付に加えて、iDeCoや新NISA、個人年金保険をどの程度使うかは、退職手当や家族構成、退職後の働き方によって答えが変わります。老後の上乗せの計画をご自身の状況に合わせて整理したい方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも選択肢の一つです。

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監修 宮﨑 裕太(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、一種証券外務員)
更新日 2026年10月7日

参考資料

※本記事は2026年10月時点の法令・制度に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品や金融商品の推奨を行うものではありません。ご自身の給付額は所属する共済組合の通知や窓口でご確認ください。

この記事を書いた人

マネーパスポート運営部

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